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[後編]鉄拳恋愛小説 : 悲しみ穿冲拳 (かなしみ せんちゅうけん)

この小説はフィクションであり、登場人物や出来事は架空の物です。
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前半はこちら

 
もしもし。ヒナちゃん聞こえてる?

「 ……。」

電話したのは最初と最後だけだったかもしれない。

 

 

 

あれからあの暑さを超える夏は来ていない。

 

 

 

鉄拳6で颯爽とレオが登場して鉄拳6の時代が終わり、鉄拳TAG2の時代が転々と数年続いていった、そこのコミュニティーに佇む人達は少しずつ歳を重ねて大人になる。

鉄拳7になった時に、その昔、レオ使い先生 と 見習いレオ使い の魔が差した件(くだん)の発端となるレオの立ち途中RK(軽いキック)と9LPRP(穿冲拳)のうち、前者の立ち途中RKが改良されて性能とダメージが計り知れないものとなる。
その結果、レオの高度なテクニックだった しゃがみ状態から9LPRP(穿冲拳)で反撃するという行動は使用機会がほぼほぼ無いテクニックとなり、
そんな”知って”無いと普通は出来ない行動が出てて来るのは大人の昔話だけになった。

 

 

 

どうして…カンガルー”ロジャー”の2RP下段攻撃に穿冲拳で反撃するのを知っていたの?

 

 

 

何気ない質問が見習いレオ使いを追い詰め、

何気ない質問がレオ使い先生を自傷した。

そして二人はその質問を最後に顔を合わせる事は無かった。

 

 

それだけの事で…単に何気なく。背の高いロジャー使いのあの人に何気なくそれだけ教えて貰ったのかもしれない。

 

ただそれだけの事は何気なくどこにでもあり、
ロジャー使いのあの人と似たようなサングラスをするようになったのかもしれないし、何気なくある時を境に中性的なファッションをしていた男性経験の無いらしいヒナちゃんが女の子らしい服装に変わっていったのかもしれないし、何気なくその時期は夜に講習するPS3のオンライン対戦の都合が極端に付き難くなったのは関係が無くて、辺鄙なゲームセンターに行かないと貰えない筈の店舗来店専用称号も偶然揃って付けていただけかもしれないのだけど、
なぁ…エリちゃん。知ってるなら教えてくれないか?ヒナちゃんはロジャー使いの彼と付き合っていないかい?

 

エリは電話越しでこんな時でも言葉の数は多くおしゃべりだった。

 

えー!きゃー気づいちゃったんですか!ごめんなさいごめんなさい。くろくろさんが本気だったのはわたしもヒナも解ってるんです。あーヒナに何て言えばいいんだろーたいへんっ!
なんかヒナがゲーセンで話しかけられて良く会ううちにイイナーって思っちゃったみたいなんです。ヒナのそういう気持ちもはじめてみたいでわたしはおどろいちゃって!それでまぁ付き合い始めちゃったみたいですねぇ。わたしはくろくろさんの方がヒナにいいなーって思ってたんですけどその…黙っててごめんなさい!

そうだよね。教えてくれてありがとう。

 

 

 

別に誰も恨んで無い感じ。
そりゃそうだ恋なんて気に入るか気に入らないか受け入れるか受け入れないか。

 

 

 

ダメなものはダメって体験したのは思春期以来だろうか。皆大人になればダメなものには向かって行かなくなる。
中学・高校の時に6年間、身長がコンプレックスで1リットルパックの牛乳を毎日毎日無理して飲んだけど身長は伸びなかった。だから知ってるよ。
ダメなものに向かっては行かないつもりだ。だから早く言ってよ。

 

 

 

 

喪失感と焦燥感が織りなす嵐が私のレオを弱くしていった。

 

 

 

 

レオは悪くないのに。誰も悪くないのに。

いつしか私はレオの事をヒナちゃんが言う”レオ君”の様に一人の人として考えるようになっていた。

 

 

 

そんなヒナちゃんが”求めぬ人”からの好意をうまく処理出来る人間でも無いのに、
初めてリアルに異性を好きになって付き合ってみた大事な時期なのに。私は何をしてしまったんだろう。

何だろう私が…私が…俺が悪かったみたい。
もしもし。ヒナちゃん聞こえてる?

 

「 ……。」

 

電話したのは最初と最後だけだったかもしれない。
10月になってあの日以来ぶりに連絡を取った。出会ってからは、ほぼ毎日台風のようにレオの連絡を取っていたのにあの日からはお互い全く連絡しなくなっていた。
あの質問の答えも聞いていないのに。
白蛇推窓に絡んだあのhakujasuisou—@~~~なメアドは消えていた。

だから電話を掛けた。夏頃はどうやって祝おう?と思っていた10月のヒナちゃんの誕生日に電話した。まったくどこまでも迷惑な男だ。
電話を掛けるとヒナちゃんは2~3回のコールですぐに出た。本人だってすぐわかる。しゃべらないから。

 

 

「 ……。」

 

 

 

ごめんねヒナちゃん。

 

 

 

「 ……。」

 

 

 

エリちゃんにきいて…聞いたよ。

 

 

 

「 ……。……。」

 

 

 

気が付かなかった俺が悪かった。
ただもう俺はヒナちゃんと会ったりレオ教えたり俺が出来ないと思う。
またどこかのゲーセンで偶然出会ったら対戦しよう。

 

 

 

「 ……。……。……。」

 

 

 

 

じゃあまたね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の年の夏はそんなに暑くなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの 悲しみ穿冲拳 を見た時からちょうど一年が経った。

 

 

 

もうすぐ鉄拳の新作、鉄拳TAG2がゲームセンターに登場する。

 

私や鉄拳プレイヤーはロケテストの情報等をSNSから手に入れたりして、来る新作稼働日を待ちわびる毎日。
レオの新技のムービーを何度も見たり、TAGのパートナーは誰にしようかと破軍を背にして戦う為の下準備を行なう毎日だった。

 

 

不思議とあの時の気持ちは、レオを使うのが辛くなって辞めよう。鉄拳を辞めよう。何てことは全く考えていなかった。
ただあの時から私の心の中に、中性的なボーイッシュな…女の子だったら…良いかもしれない公式設定性別不明のレオが鎮座するようになった。

 

 

 

いろんな出来事があっても鳳凰の姿勢を崩さない鳥が居て、王を守護する大きな鉄塔もある。
レオにだって黒い過去は有るかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふと携帯が鳴った。

 

 

 

 

E-mail受信
エリちゃん
件名: おひさしぶりですぅ

くろくろさんー!げんきしてました?鉄拳やってますかー!
(^0^)/ 今日わたしの家にヒナが来るんですよ。だからあの初めてわたしとくろくろさんが会ったゲーセンにこれからヒナ連れて行きますよ。久しぶりに対戦してあげて下さいよーぉ

 

 

 

 

 

私は少し考え、運転中だった為に車を停車させて返信する。

 

 

 

 

 

 

送信トレイ
件名: Re おひさしぶりですぅ

おひさ。随分軽いね。エリちゃんらしいや。
去年ヒナちゃんにはもう偶然会う以外は会わないって決めたし、
そう言っちゃったからノコノコと会えないよ。
また別の時に食事でも行こうぜ。

 

 

 

 

 

 

 

既読なんて言葉は誰も見慣れてないE-mail主流時代、エリはそのメールを見たのか見てなかったのか知らないが返信は無かった。

 

 

 

 

 

 

 

私の車はほんとうに本当に偶然にも、もうすぐそのゲームセンターの目の前を通って仕事からの帰路につく予定だった。鉄道路線の2駅隣の駅、線路と並行した国道をそのゲームセンターがある方向へ走っている最中だった。

 

 

 

 

 

 

今更どんな顔して会うっていうんだ。

 

 

 

 

 

既に車は時間貸し駐車場に停めてエンジンを切った運転席で、氷の解けたアイススターバックスラテを飲んでいた。私はドトールの珈琲は滅多な事では飲まない。

 

 

 

 

 

 

1回だけ…ゲームの画面の中で逢うなら良いだろうか?

 

 

 

 

 

 

間違って両替機にふらふらと行った時にバッタリ会わないように車の中にあった100円玉を持ち、
エリが初めて話しかけて来たゲームセンターの地下に向かう。

 

 

構造は変わっていなければ…階段を下りてから遠目に鉄拳筐体はある筈…

 

 

 

 

 

しかし配置は変わり、もうすぐその寿命を全うする減台した鉄拳6BRは階段を下りた直後にあった。
オンライン対戦の無い時代の鉄拳6BR店内対戦台は階段側に私を待ち構えるように2P sideが向いていた。

 

 

 

 

筐体の1P side あちら側の席は、こちら側の席から見えない。

 

 

 

2set 4台ある対戦台は、1台でスティーブがCPU戦をしていて、もう一台でレオがCPU戦をしている。無論どちらも乱入可能のCPU戦。

 

 

画面に表示されているプレイヤーネームは適当なものにされていたけど…

 

 

画面の中のレオを5秒見れば誰がこのレオをプレイしているか動きで確信を得れる。こんなに私のレオと似た動きをするレオ使いは一人しかいない。

 

 

 

 

私は深呼吸をして100円玉を筐体に入れ、名前で悟られないようカードを使用せず、プレイヤーネームの出ない状況でそのレオに私のレオで乱入した。

 

 

 

3ラウンド勝利すれば1試合取る事となる。
どんな時もいつも全力だけど、本当に全力で、1ラウンドも取られる事無く、ダメージすら奪われないようK.O.する気持ちでその一戦に挑んだ。

 

 

 

 

 

1ラウンド目は私のレオのパーフェクト勝ち。

 

 

 

 

 

 

2ラウンド目は、なんと。私はラウンドをそのレオに取られてしまった。ここにもレオを辞めなかったレオ使いが居た事に喜びを感じ、間違ってもこの後、試合を落とすなんてことは出来ない切迫した緊張感が私にだけ押し寄せてくる。

 

 

 

 

 

 

3ラウンド目。結構ギリギリのところでラウンドをものにする。これでラウンドが2-1。

あまりにも上達しているこのレオ使いに感心して私は意思を表したくなった。

ラウンドからラウンドへ移る僅かな時間、ラウンドを取った側のキャラクターは数秒動ける時間がある…

 

 

 

 

私のレオは垂直ライトゥー(垂直にジャンプキックを出す、珍しい行動)を2度出した。
“知って”ないとこの意味は伝わらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4ラウンド目。

……。

相手のレオはしばらく硬直していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私のレオは遠くに離れて相手が動き出すのを待った。
私には見える筈のない相手プレイヤーが今どんな顔をしているのかわかった。

 

 

 

暫くした後、相手のレオはピクピク動き、レオを操作するプレイヤーの左手に力が戻った事がゲーム画面のレオから解った。

 

 

 

この4ラウンド目、相手が硬直していた分、制限時間が少なくなってしまい試合は途中から始まり、すぐにタイムオーバーとなって残体力の判定で私のレオがラウンドを取られてしまった。これでラウンドは2-2。

 

 

そしてその時、相手のレオが動く。

垂直ライトゥーを2回。

 

 

 

 

“Good”   “Yes”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

運命の最終ラウンド。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私のレオは面目を保つ動きをし、

 

 

 

 

 

試合終了後、垂直ライトゥーを一度入力して。

 

 

 

 

 

一人前のレオ使いがこちら側へ来る前に。

階段を駆け足で上がり。

すがたを消した。

じゃあまたね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~悲しみ穿冲拳~(後編)

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レオを11年使ってるやつも来るかもしれない…

レオオフ2018.3

■レオ オフ会 開催のお知らせ

今回のレオオフ会は
“レオを使用している方”
“レオをこれから使おうと思っている方”
“レオの対策を知りたいのでとりあえず使ってみる方”
どなたでもご参加頂けます

(以前のレオオフ会は[レオをメインキャラ]として使用している方のみ募集で他キャラメインの方の参加に期間中一定試合数をこなすというノルマがありました。今回はそういったものは有りませんオープンなレオオフ会です。)

レオ オフ会

(鉄拳7シーンでは今回がpart3です。)

■日時: 3月25日(日) 17:00~22:00 (5時間)

■場所:池袋 Cafe&Dining ストーリア

http://storia-cafe.com/index.php

■イベント内容: 主に対戦会 / 大会 / レオ研究会 /

→イベント参加登録はこちらをクリック←

★事前登録無しの当日参加は出来ません。
★段位等関係無く”レオに興味がある方”ならばどなたでもご参加頂けます。

■参加費について
3000~3500円を予定
(少なくともワンドリンクは付いてきます。現在アルコール以外の飲み物を飲み放題に出来るか店舗と交渉中です。確定しましたらBlogに更新します。)

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